今月号は、以下の2つの話題をお知らせします。
1. 「週に10分の対話」が部下の意識向上と業績につながる。
2. やってはいけないこんな会議! 事例で確認 マネジメントスキル
急速なグローバル化やAIなどのテクノロジーの登場により、ビジネス環境も大きく変わりつつあります。
また、仕事に対する価値観も変わり、これまでのマネジメント手法が通用しなくなってきました。
私が思うに、部下の成長によって『トップダウン』と『ボトムアップ』は使い分けていかないといけない
と思っています。まだまだの状態(部下の成長)であれば、『トップダウン』も必要ですが、部下の成長度も増してくれば、『トップダウン』のウエイトを小さくし、『ボトムアップ』に移行していかなければ部下も成長していけません。そして、部下自身も遣り甲斐も感じ得ません。やはり、部下に『遣り甲斐』を感じてもらえる状態であることが、成長の一番のポイントではないかと思います。
それでは、『遣り甲斐』を感じられるようにするためには、どうすればよいのか??
それは、『自分で考えて自分でやってみる。それが、結果的に良い結果につながり、それを周りから承認された時』です。確かに、私自身も、部下であった時代に上記のような経緯があると、とても遣り甲斐を感じました。
これは、時代が変わっても人間の心は同じであるはずです。
話しを戻しまして、それでは、部下の意識が向上していくためには、どうしたらよいのか?!そこには、第一歩として、『週に10分の対話』が大切であるという記事がありましたので、これよりご紹介をしたいと思います。
まずは、上司は部下とどれだけ『対話』ができているかということですが、日本も含めた他国の上司部下との関係のグラフを見てみましょう。
■各国の上司と部下が話す割合
すると・・・、どうも日本の上司は、『話し合って』いるつもりが、『上司の方が長く』しゃべっているようです。確かに、私の知っている企業でもよく面談を実施しますが、部下と向き合って対話しているつもりが、上司が一方的に話している場面をよく目にします。
次に、上司部下との関係度の良好度を他国と比較してみると・・・・日本は最下位です!
■上司と部下との関係度による良好度
このグラフを見て、とにかく驚きました。これでは、組織内の情報の共有化ができなくなり、結果的に組織の一体感はなくなり、最大限の成果や業績につながりにくくなるのは当たり前となるでしょう。
■『上司が部下と話す量』と『組織活性度』との関係
(出典: 組織とリーダーに関するグローバル価値観調査 コーチング研究所調査より)
それでは、上記のグラフを見てみると、『部下との話す量が少ない』という赤色の折れ線グラフでは、組織活性度のすべての項目で、『話す量が多い』紺色の折れ線グラフより全般的に下回っています。ここで言えることは、『部下と話す量が増える』ことで、部下の考える機会が多くなるということ、そして、これにより『対話』が起きやすくなり、部下との良好な関係づくりと自ら考えて行動しようという意識の向上につながることが言えます。
弊社にも部下がおりますが、できれば『遣り甲斐のある仕事』になるようにいつも考えております。しかし、そのようなキレイごとだけでは済まない出来事も沢山あり、理屈どおりにならない現実も感じます。しかし、そうは言っても自らを戒め、自らを改善しながら部下にどのようなことをしたら『遣り甲斐をもって働ける』か、そのために私は何をする必要があるのかを日々真剣に考えています。
そのような意味でも、『週に10分からの対話』が第一歩となるよう私自身も実践してみたいと思います。皆さんも試してみませんか。 須山より
4月21日付朝日新聞デジタルの記事によると、大企業での会議の悩みトップ3は、時間が長い、結論が出ない・物事が決まらない、目的がはっきりしないとなっています。アンケートは大企業を対象にしたものですが、規模に関わらずどこの会社も同じ悩みを抱えているのではないでしょうか?
今月、来月の“やってはいけないシリーズ”は、会議の悩みについて見ていきましょう。
☆事例1☆
新商品のアイディア出し会議で、営業部長のA氏が自分の意見を話し始めると、その迫力に押され参加者が自分の意見を言いづらい雰囲気になります。他の参加者に意見を求めても、A氏の意見に迎合したものしか出ず、会議を開いている意味がありません。A氏が意見を言う前に出た意見も、A氏が発言する事で否定されてしまい議論が盛り上がるどころか下火に。「一番声が大きい人」に振り回されないためにはどうしたらいいのでしょうか?
☆ポイント☆
参加者の様々な意見を吸い上げるには、「ふせん紙」を使って、意見を吸い上げる方法がおススメです。会議の冒頭に会議の趣旨を話した後、参加者にふせん紙を配り、意見を書いてもらいます。このとき、作業時間と何件意見を出すかをあらかじめ伝えます。(15分で最低5件は書く 等)
こうすることで、「声が大きい人」の意見だけに流されることなく、多様な意見が出やすくなります。また、
- 手を挙げて発言することと違い、意見を出すハードルが低くなる。
- 紙に書くことで考えが整理される。
- 参加者が、自分の意見を出すことで気落ちがすっきりし満足度が高まる
など、多くのメリットがあります。
上記の方法は、「ファシリテーションスキル」と呼ばれる会議の運営スキルのひとつです。来月は、意見が出た後の合意形成のやり方と、更に役立つファシリテーションスキルの事例をご紹介していきます。